日本で使える緊急避妊の方法は?
「アフターピルには種類があるの?」という疑問に、添付文書・国の審査資料・日本産科婦人科学会の指針をもとに答えます。製品の良し悪しを比べるページではなく、2026年10月9日時点で何が使えるかを整理するページです。
- 日本で承認されている緊急避妊薬の成分はレボノルゲストレル1.5mgだけです(2025年4月の学会指針の時点)。
- 病院で処方される医療用(ノルレボ錠1.5mg、後発品のレボノルゲストレル錠1.5mg「F」)と、薬局で買える要指導医薬品(ノルレボ、レソエル72)があります。成分と量は同じです。
- ほかに、中用量ピルを使うヤッペ法や、子宮内の器具を使う方法がありますが、学会はレボノルゲストレルの薬を第一の選択としています。
日本で承認されている緊急避妊薬は?
日本で緊急避妊のために承認されている薬は、レボノルゲストレルという成分の薬です。日本産科婦人科学会の2025年4月の指針は、国内で承認された緊急避妊薬はこの成分の1.5mgの薬だけだとしています。
この成分の薬は、2011年に0.75mgの錠剤が承認され、2015年に1.5mgの錠剤が承認されました。1.5mgの錠剤は2016年4月に販売が始まり、今は1回1錠で飲む形になっています。
| 区分 | 名前 | 会社(資料の記載) | 受け取り方 |
|---|---|---|---|
| 医療用(処方箋医薬品) | ノルレボ錠1.5mg | 製造販売 あすか製薬/販売 武田薬品工業 | 医師の処方 |
| 医療用(後発品) | レボノルゲストレル錠1.5mg「F」 | 製造販売 富士製薬工業(2019年3月販売開始) | 医師の処方 |
| 要指導医薬品 | ノルレボ | 製造販売 あすか製薬/販売 第一三共ヘルスケア(2026年2月2日発売) | 薬局で薬剤師から受け取り、その場で飲む |
| 要指導医薬品 | レソエル72 | 申請 富士製薬工業 | 薬局で薬剤師から受け取り、その場で飲む |
後発品(ジェネリック)の「F」は、ノルレボ錠1.5mgと体の中での効き方が同じ(生物学的同等性)であることが確かめられています。レソエル72は、2026年2月2日の国の部会で、対面での販売が必要な薬(特定要指導医薬品)に当たるとされました。
このページは、名前と区分を整理するためのものです。どれがよいかを比べたり、勧めたりはしません。受け取れる場所によって、使われる薬は違います。
医療用と薬局の薬は何が違う?
成分と量は同じです。違うのは、受け取り方と、いくつかの注意の書き方です。医療用は医師が処方し、要指導医薬品は研修を受けた薬剤師が対面で確認して渡します。
| 項目 | 医療用(処方) | 要指導医薬品(薬局) |
|---|---|---|
| 飲み方 | 医師の処方で、避妊に失敗してから72時間以内に1錠 | 72時間以内に薬剤師から受け取り、その場で飲む |
| 授乳中 | 授乳しないことが望ましく、飲んでから24時間は授乳を避けるよう指導される | 授乳中の人は飲まないこととされている |
| 2時間以内に吐いたとき | 医師がもう1回分を出すことがある | 飲まずに医療機関を受診する |
| 年齢・同意 | 年齢の制限なし | 年齢の制限なし・親の同意不要・本人だけに販売 |
授乳や吐いたときの扱いは、医療用と薬局の薬で説明が違います。自分が受け取った薬がどちらなのかを確かめたうえで、副作用のページや飲んだ後のページを読んでください。
薬局での買い方の決まり(研修、チェックシート、本人の確認など)は薬局で買える制度、お金のことは費用と保険にまとめています。どちらで受け取るかの比べ方は手に入れる3つの方法へ。
ヤッペ法とは?
ヤッペ法は、中用量ピル(ホルモンの量が中くらいのピル)を2錠飲み、12時間後にさらに2錠飲みます。医師の判断で行うものです。
WHOが行った比べる試験では、効果も安全性も、レボノルゲストレルの薬のほうが優れていました。学会の指針によると、ヤッペ法で妊娠した人の割合は、海外の報告で3.2%、国内の報告で2.6%でした。吐き気は50.1%、嘔吐は14.8%の人に見られました。
こうした結果から、学会はレボノルゲストレルの薬を第一の選択とし、ヤッペ法はほかの方法が使えない場合にだけ使うよう勧めています。
子宮内避妊具(IUD)は緊急避妊に使える?
子宮の中に小さな器具を入れて妊娠を防ぐ方法があります。そのうち銅を使った器具(銅付加IUD)は、日本では2024年12月で販売が終わりました。学会の2025年4月の指針には、代わりの選択肢として、レボノルゲストレルを少しずつ出す器具(LNG-IUS)が書き加えられました。
ただし、銅付加IUDにもLNG-IUSにも、日本では緊急避妊のための承認(適応)はありません。LNG-IUSを使う場合は、医師が十分に説明し、本人が納得したうえで行うことが望ましいとされます。入れるのは、避妊に失敗してから120時間以内です。
WHOは、性暴力の被害のあとは性感染症のリスクが高いことがあるため、緊急避妊のために銅付加IUDを入れるべきではないとしています。被害にあったときの相談先は相談先のページにあります。
海外の別の成分の薬は日本で使える?
海外では、ウリプリスタルという別の成分の緊急避妊薬もあります。日本産科婦人科学会の2025年4月の指針の時点で、国内で緊急避妊薬として承認されているのはレボノルゲストレルだけです。
国内で承認されていない薬は、品質や安全性が国で確かめられていません。個人で海外から取り寄せた薬で健康被害が出ても、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象になりません。くわしくは個人輸入の危険をご覧ください。
ふだんの避妊法とはどう違う?
緊急避妊薬は、避妊に失敗したあとに1回使うものです。添付文書は、計画的に妊娠を避けるための薬ではないとしています。学会の資料も、緊急避妊薬をくり返し使うより、低用量ピルを続けて飲むほうが妊娠する割合はずっと低いとしています。
低用量ピルを飲み忘れたために緊急避妊薬を使った場合は、飲んでから12時間以内に低用量ピルを再開するよう学会は示しています。どの避妊法が合うかは、産婦人科で相談できます。
また、緊急避妊薬も子宮内の器具も、HIVを含む性感染症を防ぐことはできません。性感染症が心配なときは、別に検査や相談が必要です。誤解されやすい点はよくある誤解のページで取り上げています。
よく出る疑問
ノルレボとレソエル72は効き目が違いますか?
どちらも成分はレボノルゲストレル1.5mgで、同じ量です。このサイトでは製品どうしを比べることはしません。受け取れる薬は、薬局や医療機関によって違います。
後発品(ジェネリック)は効果が弱いのですか?
後発品の「F」は、ノルレボ錠1.5mgと体の中での効き方が同じであることが確かめられています。どの薬が出るかは、医師や薬局に聞いてください。
ヤッペ法を自分で行えますか?
ヤッペ法は、医師が判断して中用量ピルを処方して行う方法です。学会は、ほかの方法が使えない場合にだけ使うよう勧めています。自分で手元のピルを使って試すことは避け、医師に相談してください。
72時間を過ぎたら子宮内の器具しかありませんか?
学会の指針には、72時間を過ぎて120時間以内の薬の使用を、適用外だが効果がある可能性が高いとする記載もあります。どの方法を選ぶかは、医師が時間や体の状態を聞いて考えます。飲む時間のページもご覧ください。
- ノルレボ錠1.5mg 添付文書(医療用・2022年2月改訂 第2版)医薬品医療機器総合機構(2026年10月9日に確認)
- レボノルゲストレル錠1.5mg「F」添付文書(医療用・後発品)医薬品医療機器総合機構(2026年10月9日に確認)
- 厚生労働省 審議結果報告書・審査報告書 ノルレボ(要指導医薬品)(2026年10月9日に確認)
- 医薬品医療機器総合機構 審議結果報告書 レソエル72(要指導医薬品)(2026年10月9日に確認)
- 第一三共ヘルスケア 発表(2025年12月18日)(2026年10月9日に確認)
- 第一三共ヘルスケア「ノルレボ」Q&A(2026年10月9日に確認)
- 日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針(令和7年改訂版)」(2025年4月)(2026年10月9日に確認)
- 厚生労働省 部会資料「緊急避妊薬のスイッチOTC化について」(2025年8月)(2026年10月9日に確認)
- WHO Fact sheet "Emergency contraception"(2021年11月9日更新)(2026年10月9日に確認)
このページは、添付文書や国・学会の資料など公開された情報をまとめたものです。一人ひとりの状況(飲めるかどうか・妊娠の可能性)は判断できません。飲むかどうか、飲んだ後のことは、医師か薬剤師に相談してください。当サイトは医療機関・薬局の紹介も、薬の販売もしていません。